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労働時間の管理と残業代について少し考察してみましょう。
残業代とは、法律上、「時間外の割増賃金」と定義され「通常の労働時間の賃金の計算額の2割5分以上5割以下の範囲内で政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。」とされています。(労基法37条)

現在、
(1)1カ月の合計が60時間までの時間外労働および深夜労働については通常の労働時間の賃金の2割5分以上、(2)1カ月の合計が60時間を超えた時間外労働が行われた場合には60時間を超える労働について通常の労働時間の賃金5割以上、(3)休日労働に対しては通常の労働日の賃金の3割5分以上の割増賃金の支払が必要です。
仮に、1日8時間、1ヶ月の平均労働日が22日の社員が月給400,000円で働いている場合、割増率を2割5分で計算すると、1時間あたりの時間外単価は2,840円90銭となり、月間40時間の時間外労働をさせた場合の残業代は113,636円にもなります。
ファーストフード店の店長による時間外・休日労働の請求が一部認容された日本マクドナルド社の事件(平成20.1.28 東京地判)については、記憶に新しいところと思いますが、これを契機としていわゆる「名ばかり管理職」の問題がクローズアップされ、多方面でその対策に乗り出しているところであります。

厚生労働省も、これまでの管理監督者の判断基準に加え、「多店舗展開する小売業、飲食業等の店舗における管理監督者の範囲の適正化について」という通達を発出し、一定の判断要素を示しています。
もっとも、この通達によっても管理監督者と一般労働者とが明確に線引きされたとはいえず、これを経営側が自身の都合の良いように拡大解釈することは危険であるといわざるを得ません。
小売業、飲食業、流通業だけでなく、他の業種であっても、管理監督者の取扱いの是非について、ご相談を受けることが増えていますが、根本的な問題として、タイトルの如く労働時間の管理と残業代の両面から考えていく必要があります。
長時間労働を改善するには、自ずと組織、人員、仕事の中身を検証しなければならず、これは一朝一夕でできるものではありません。

また、現在の賃金制度のまま残業代を支払っていくとなれば、場合によっては、企業の人件費割合が高騰し、経営そのものを圧迫することも考えられます。
付け焼刃的なその場しのぎの対応は、リスクの先送りに過ぎず、抜本的な解決には繋がりません。
コンプライアンス経営、リスクマネジメントといった言葉までをも「名ばかり」にするのではなく、会社の抱えるリスクに対して問題意識をしっかりと持ち、改善に向けて真剣に取り組むことで、結果として組織が活性化されるとともに業務の効率化が図られ、ひいては優秀な人材の確保、定着に繋がるものと考えます。

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