令和4年3月までの雇用調整助成金の特例措置等について【令和3年12月】

厚生労働省は21日、雇用調整助成金の特例措置を2022年3月31日まで延長することなどについて、リーフレットを更新しました。

1人あたりの日額上限は、原則として、大企業、中小企業ともに、2022年1月・2月は1万1,000円、3月は9,000円に引き下げることとしています。

なお、業況特例・地域特例の場合は1万5,000円で据え置くとしています。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07.html

令和3年5月・6月の雇用調整助成金の特例措置について

厚労省は、新型コロナウィルス感染症拡大防止のため、令和3年4月末日を期限として雇用調整助成金の特例措置を講じてきたところですが、緊急事態宣言の再発出やまん延防止等重点措置による要請等を受けて時間短縮等、自粛に協力する事業主等について、6月30日までの間、特例措置を延長することとしました。

詳細につきましては、下記のリーフレットを参照ください。

https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000775219.pdf

 

労働基準法に基づく届出等における押印原則の見直しについて

厚生労働省の労働政策審議会は11月11日、届け出時の押印等の廃止や様式改正を定めた「労働基準法施行規則等の一部を改正する省令案要綱」について、厚生労働大臣に対し「おおむね妥当」と答申しました。
 本省令案要綱のポイントは以下のとおりです。

1.押印等の廃止
 規制改革実施計画(令和2年7月17日閣議決定)等において、行政手続き
における押印の見直しが明記されたことを踏まえ、労働基準法・最低賃金
法の規定に基づき使用者に提出を求めている届け出等について、使用者・
労働者の押印または署名を求めないこととする。
 また、電子申請における電子署名の添付も不要とする。

2.省令様式の改正
 押印等を求めている法令様式のうち、過半数代表者の記載のある法令様式
については、36協定届も含め、様式上にチェックボックスを設けることとす
る。
※時間外労働・休日労働に関する協定届(改正案)
 https://www.mhlw.go.jp/content/11201250/000692797.pdf

3.施行期日
 令和3年4月1日

労働基準監督署の臨検

労働基準監督官が事業場へ立ち入り、労働基準法、労働安全衛生法等に基づく法令違反を調査することを臨検といいます。
臨検には、

  1. 定期的な臨検
  2. 労働者からの申告
  3. 労働災害の発生による調査

などがありますが、近年では労働者からの申告により臨検調査が行われるケースが増加してきています。
臨検にあたっては、殆どの場合、あらかじめ日時の指定がなされてきますが、度重なる違反が認められ、再三の勧告にもかかわらず改善されない事業場などには、予告なしで臨検が行われる場合もあります。
臨検は、法令違反の是正を目的として行なわれます。
労働基準監督官が労働諸法令に違反する事実を認めた場合には、通常「是正勧告書」による勧告を行い、使用者に違反事実の是正を求めます。
是正勧告書には、根拠条文、違反事実の内容、是正期日などが記載されますが、決められた期日までに是正を行い、是正したことが認められる書類を添付した上で、「是正報告書」により報告しなければなりません。
臨検時に提出を求められる主な書類は次の通りです。

  1. 労働者名簿
  2. 出勤簿もしくはタイムカード
  3. 賃金台帳
  4. 就業規則、賃金規程(常時10人以上の労働者を使用する事業場)
  5. 労働条件通知書
  6. 定期健康診断結果
  7. 時間外・休日労働に関する労使協定書など

これらの書類は、すべて法で調整を求められている書類であり、これらの書類そのものがないという事業場では、即、整備することが求められます。

次に臨検時において指摘されやすい事項を並べてみます。

  1. 時間外労働の協定未締結、未届
  2. 時間外労働に対する割増賃金(残業代)の不払
  3. 雇い入れ時の労働条件の明示の不履行
  4. 就業規則や各種規程の未整備や変更した場合の未届
  5. 定期健康診断の未実施
  6. 労働者名簿、出勤簿(タイムカード)、賃金台帳等の未整備や保存義務不履行など

臨検時に指摘された事項について是正を行い、期日までに報告することは先述のとおりですが、これを行わない場合や虚偽の事実を記載するなどの悪質な対応がなされた場合には、再調査や行政刑罰、逮捕、送検など、より大きな問題に発展する可能性があります。
また、賃金(残業代を含む。)の時効は2年間と定められています。
したがって、残業代の未払いなどが指摘された場合、最大2年間に遡って支払を命じられる場合もあり、経営に大きな影響を及ぼすことも考えられます。
日頃からしっかりとした管理を行っていれば、大きな問題になることはありませんが、臨検が行われた場合には、誠意を持って対応することが肝心です。
また、残念ながら指摘された事項があった場合には、その指摘事項は正に自社の問題であるということを認識し、しっかりと真摯に是正することが求められます。
是正を求められた事項によっては、労働時間や賃金制度など、企業の人事労務管理制度そのものを大幅に見直さなくてはならないケースも出てきます。
このような場合、付け焼刃的な対応で済ませてしまうと、後に大きな代償を支払うことにもなりかねず、自社の人事労務管理制度を抜本的に見直し、きちんとした対応をすることが求められます。
労働基準監督署から臨検の通知が来た場合には、慌てることなく、できるだけ早めに社会保険労務士に相談されるなどして、自社の労務管理における問題点をあぶりだすとともに、法令遵守を基本として、しっかりとした制度の再構築を行なうようにして下さい。
労働基準監督署の監督官も、真摯に是正に向けた取組みを行っていると認めれば、色々なアドバイスも含めて、自社の相談に乗ってくれるはずです。
「違反事項の取り締まり」と考えるのではなく、「改善に向けた指導」と考え、臨検に臨めば、自社のより良い制度構築の切掛けともなると考えます。